●会報 第95号

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JRPS神奈川会報第95号

(表紙)
1971年 8月 7日 第三種郵便物認可(毎月6回 1の日・6の日発行)
2020年5月12日発行 SSKA増刊通巻 第10245号
SSKA
あぁるぴぃ 第95号 KANAGAWA 2020 summer

田上眞由美さん作 鯉の水墨画二匹の鯉が左を向いて少し頭を寄せ、手前と右側には笹の葉が描かれています。、

私たち自身で
治療法の確立と
生活の質の向上を目指す


**この会報誌は「NHK歳末たすけあい」の配分金により作成しています。 **
JRPS神奈川

(表紙終わり)


あぁるぴぃKANAGAWA 2020 summer 第95号 目次

・巻頭言                  
  2 JRPS神奈川の活動にふれて

・JRPS神奈川の活動
3 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う、JRPS神奈川の活動につきまして
3 編集部からのお知らせ

【ご報告】
4 働く世代のセミナー&懇親会の報告

 ・情報コーナー
 6  新型コロナウイルス感染症から身を守る
 9  サキサキ先生の簡単パソコン活用講座(17)
 11 ちょっと話してみませんか?(ピア相談のご案内)
 12 読書の薦め

・投稿コーナー
 15 みんなの川柳・俳句・短歌
 19 ウッチャンの落書きストーリー


(表紙:茅ヶ崎市在住田上眞由美さんの水墨画「鯉」より)

■ 巻頭言 JRPS神奈川の活動にふれて

 私は28年前にRPと診断されました。その時の衝撃があまりにも大きく約10年間は誰にも知られまいとひとり悩み続けていました。そんな時通っていた眼科のORT(視能訓練士)のかたから「網膜色素変性症の患者の会があるんですよ、是非行ってみたらいいと思いますよ」と何度も熱心に話を聞かせてくれました。そんなに言ってくださるのならと、まずは神奈川主催の医療講演会、それから静岡で開催された世界網膜の日などいくつか参加し、その後ミニ集会にも参加しました。そこで初めて知り合ったかたがたと意気投合し、月一度会えるのを楽しみにして、どれだけ話をした事でしょう。本当に嬉しい時間でした。その時の友達とは今でも連絡を取り合い、私の心の支えとなっています。
 その後さらに神奈川のさまざまな活動に参加してたくさんのかたと話をして多くの事を教えていただきました。良くわからないという事、知らないという事が大きな不安になっているのだと思いました。

   JRPS神奈川の活動に「患者のつどい」があります。保健所と共催で開催されますが、私は役員スタッフとして県内の数々の保健所を回らせていただきました。そこは会員さんでないかたやさらにJRPSをご存知ないかたとお会いできる貴重な場だと思っています。内容は役員スタッフからRP全般の説明を聞き、後半は少人数でのグループ交流会を行っています。その交流会ではしばしば時間が足りなくなることがあります。それ程皆さん聞きたい事や聞いてもらいたい事をお持ちなのだと感じています。そして患者同士気兼ねなく話す事でどんな小さな出来事にもそうだそうだとうなずいて、私ひとりではないと思えてほんの少しホッとする時間が持てる重要な活動だと痛感しています。
 患者の皆さまが少しでもホッとできるように、神奈川の活動にふれていただきたいと思っています。今は新型コロナウイルスの影響で活動の中止が続いていますがこの状況を乗り切ってまた再開された時元気に皆さまとお会いできるのを楽しみにしています。

(役員 田上 眞由美)


JRPS神奈川の活動  

新型コロナウイルス感染症拡大に伴うJRPS神奈川の活動につきまして

 JRPS神奈川会員の皆さま。
 5月4日に緊急事態宣言が継続されてから1カ月近くたち、徐々に感染者減少の傾向が見え始めておりますが、とは言っても密閉、密集、密接の3密を満たすイベントが多い当会におきましてはすぐに再開することは困難であり、会員の皆さまの安全を第一に考え、引き続き自粛せざるを得ないと判断しております。
 6月に予定しておりました総会につきましても、一堂に会しての開催はいたしません。皆さまのお手元に、総会議案書と委任もしくは議決行使の内容を記載しました返信用はがきを同封してお送りいたしますので、書面(はがき)による決議とさせていただきます。詳細は総会議案書をご覧ください。
 また、総会後の医療講演会につきましては、昨年のJRPS研究助成受賞者であります京都大学の長谷川智子先生をお招きする予定でしたが、延期といたします。そして、来年3月実施の方向で再度調整させていただきますので、詳細は別途ご連絡いたします。
 7月以降のイベント開催状況につきましては、JRPS神奈川のホームページ(http://www.rp-k.com/)をご覧いただければと存じます。皆様におかれましては引き続きご無理なさらぬよう、しっかりと感染予防に努めてください。

2020年5月24日    会長 阿部 直之


編集部からのお知らせ
〜JRPS神奈川会報誌発行について〜

役員  佐藤 孝

 当協会の会報誌は年4回(2月、5月、8月、11月)発行し、会員の皆様のご要望に応じ「墨字版(印刷製本)」「メール版(Eメール)」「デイジー版(CD)」で発送させていただいています。
 しかし、今般の新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、発送作業の際に利用している、かながわ県民センターの利用が当面できなくなりました。会報発送作業は、毎回30人を超えるかたのご協力により行っていますが、現下の状況から見ても、作業場所の確保が困難であり、なによりも会員さん、お手伝いいただいているボランティアの皆様の安全が第一と考え、95号会報誌は「墨字版(印刷製本)」の発行は行わないことにしました。
 また、デイジー版(CD)についても音訳してくださっているボランティアさんの活動拠点が使用禁止となっているため作成することができません。墨字版・デイジー版ご利用の方にはご不便をおかけしますが、ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。
 なお、5月下旬には当協会ホームページに会報95号のPDFファイルとテキストファイルを掲載いたします。パソコン画面でご覧いただくか印刷してご利用ください。音声ソフトご利用の方も読み上げ可能です。メール版ご利用の方は変更ございません。

■働く世代のセミナー&懇親会の報告

役員  萩原 徹

 1月25日(土)に東京都品川区の「きゅりあん」で、働く世代のセミナー「働き続けるために」を開催しましたので報告します。
 このセミナーはJRPS神奈川が主催し、JRPS東京とJRPSユースと共同で開催しました。当日は神奈川や東京の会員のほか、関東近県、香川県や山口県の会員のかたがた、会員以外の視覚障害者のかたがたと幅広く参加いただき、第一部セミナー76名、第二部懇親会46名と、視覚障害のある状況で働き続けることへの関心の高さを感じました。

 セミナー第一部は、JRPS東京の幹事である熊懐 敬(くまだき けい)氏による「進行性疾患に対応し働き続ける方法」をテーマにした基調講演でスタートしました。同氏は、視覚障害の就労相談も担当され、65歳まで仕事を続けた自身の経験を披露しながら、働き続けるノウハウを語っていただきました。
同氏は、「情報収集」や「同じ境遇の仲間との交流」の重要性を強調、自分の症状を職場に伝え、配慮を求める際は、眼科医の意見書に加えて具体的な希望を自ら書面にまとめて提出することも有効とお話しされました。

シンポジウムの写真です。
 続けて、網膜色素変性症の当事者6人によるシンポジウムが行なわれました。就職後障害が現われたものの就労を継続、もしくは再就職のために職業訓練を受けて働いているかたがたで、それぞれの訓練内容や訓練施設を選択した理由などをお話しいただきました。

 最後のまとめは、株式会社ユニバーサルスタイル代表取締役で、視覚障害当事者の初瀬 勇輔(はつせ ゆうすけ)氏による視覚障害の就労の現状に関する特別講演で締めくくりました。
 同氏は、視覚障害以外の障害者と比べられる雇用の現場では、「こういう配慮があれば、こういう仕事ができる」という具体的な説明が不足している場合が多いとお話しされ、パソコンスキル等を具体的に示すことが必要だと強調されました。  就職・転職を考えている人には「多くの人材紹介会社に登録したほうがいい」とアドバイスをされました。全国的なネットワークを持つ支援会社と、知人の紹介など、様々な手段を活用することが肝心ということです。就労中の人には、配置転換や業務の調整について、会社と相談することを勧めていました。周囲の人とのコミュニケーションが欠かせない仕事の中で、合理的配慮も上手に求める必要があるとし、「社内で得意な分野を作っておくこと」も大切だとお話しされました。
 「視覚障害者を含め色々な人が活躍できるインクルーシブ社会(健常者と障害者が混ざり合う社会)を一緒に作っていきましょう」と講演をまとめられました。セミナー終了後は、懇親会が盛大に行なわれ、参加者同士、貴重な情報を交換して終了しました。

※本セミナーの音声データが、JRPS神奈川のHPの会員専用ページに掲載されています。ぜひ、お聞きください。

**このセミナーは「NHK歳末たすけあいの配分金」により開催いたしました**

情報コーナー

■新型コロナウイルス感染症から身を守る

支援会員  白崎 正彦

T.感染に備える
(1) 「正常性バイアス」(正常化の偏見)を自覚する
  正常性バイアスとは災害などで目の前に危険が迫っていても正常な日常生活の延長線上の出来事として捉え、「自分は大丈夫」「まだ大丈夫」「どうせたいしたことない」などと考えてしまう傾向です。あなたは大丈夫だと楽観していませんか。

(2) 免疫力の強化
  免疫力をアップする食事
1.良質なたんぱく質…粘膜や免疫細胞をパワーアップ。毎日の食事で良質なタンパク質を摂りましょう。
2.乳酸菌や食物繊維…腸内の善玉菌を増やして腸を元気に。腸は全身の免疫システムの重要拠点です。腸内環境を美化する食物繊維も補い、腸を元気に保ちましょう。
3.ビタミンA(β‐カロテン)…粘膜を強くして喉や鼻をガード。ビタミンAを積極的に摂りましょう。
4.イオウ化合物やビタミンC、E…免疫力を活性化!攻撃力もサポート!
イオウ化合物は玉ねぎやニンニクに含まれています。免疫細胞の働きを高めるビタミンCや、活性酸素を消去するビタミンEもしっかり摂りましょう。
5.免疫力を高める食材
◇ヨーグルト ◇干し柿 ◇みかん ◇キムチ ◇バナナ ◇納豆
◇にんじんジュース ◇キウイフルーツ ◇緑茶 ◇アーモンド

(3) 体力の強化
 一般的な感染症対策や健康管理を心がけてください。外出自粛で運動不足になりやすいので、とにかくその場でも良いので手足身体を動かすこと、立っているだけでも違いがあります。

U.感染を寄せ付けない
(1) 3密の環境を作らない
 なんといっても3密(1は換気の悪い密閉空間、2は人が密集している、3は近距離での会話や発声が行われている)の環境を作らないことです。
(2) しっかりした手洗いを小まめに行う
 感染の経路は、口から放出されたウイルスが、直接あるいはテーブルやスイッチ・押しボタン、手すりやお金などを介して皆さんの手に付着します。その手で「目」「鼻」「口」に触ると、そこの粘膜からウイルスは体内へと入り込みます。大事なのはしっかりとした手洗い(石鹸で60秒を目処に)を小まめにすることです。
  まずは出かける前の手洗いでウイルスを落とします。そして何かに素手で触ったとき、あるいは食事の前、食事の後、買い物カゴ、商品その他諸々、とにかく相手は見えないのですから、外でも家でも気が付いたらすぐに手を洗いましょう。

(3) なるべく顔に触らない
 手洗いより難しいのが目・鼻・口に触らないことです。人は本能的に顔を触る習慣がありますから、手洗いより難しいかもしれません。マスクの使用同様、手洗いと顔を触らないことがとても大事です。

V.家族にウイルス感染が疑われる場合に、家庭で注意すること
(1) 可能であれば個室にする
 ウイルスの感染が疑われる場合、可能であれば個室にしましょう。食事や寝るときも別室としてください。子どもがいるかた、部屋数が少ない場合など、部屋を分けられない場合には、少なくとも2m以上の距離を保ったり、仕切りやカーテンなどを設置することをお薦めします。寝るときは頭の位置を互い違いになるようにしましょう。

(2) 感染が疑われる家族のお世話は、限られた人(ひとりが望ましい)で行う
 感染が疑われる家族のお世話をするのは、限られたかたで行いましょう。ただし、心臓や肺、腎臓に持病のあるかた、糖尿病のかた、免疫の低下したかた、妊婦などは、感染が疑われる家族のお世話をするのはなるべく避けましょう。

(3) できるだけ全員がマスクをする
 感染者、家族の両方がマスクを着用することで、ウイルスの拡散を防ぎます。使用したマスクは他の部屋に持ち出さず部屋の入口に置くか、すぐ捨てるようにし、マスクの表面には触れないようにしましょう。マスクを外す際には、ゴムやひもをつまんで外しましょう。マスクを外した後は必ず石鹸で手を洗いましょう(アルコール手指消毒剤でも可)。
マスクが汚れたときは、新しい清潔な乾燥マスクと交換してください。マスクがないときなどに咳やくしゃみをする際は、ティッシュ等で口と鼻を覆いましょう。

(4) こまめに石鹸で手を洗う
 家族は手洗い、アルコール消毒を徹底しましょう。洗っていない手で目や鼻、口などを触らないようにしてください。

(5) 部屋の定期的な換気
 部屋は定期的に換気しましょう。共有スペースや他の部屋も窓を開けましょう。

(6) 共用部分の消毒
 物に付着したウイルスはしばらく生存します。ドアの取っ手やノブ、ベッド柵など共用部分は、薄めた市販の家庭用塩素系漂白剤で拭いた後、水拭きしましょう。
※家庭用塩素系漂白剤は、主成分が次亜塩素酸ナトリウムであることを確認し、濃度が0.05%(製品の濃度が6%の場合、水3Lに液を25ml)になるように調整してください。
 トイレや洗面所は、通常の家庭用洗剤ですすぎ、0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを含む家庭用消毒剤を使用しましょう。タオル、衣類、食器、箸・スプーンなどは、通常の洗濯や洗浄でかまいません。感染が疑われる家族の使用したものを分けて洗う必要はありません。
 ただし、洗浄前のものを共用しないようにしてください。特にタオルは、トイレ、洗面所、キッチンなどで共用しないように注意してください。

(7)汚れたリネン、衣服の洗濯
 体液で汚れた衣服、リネンを取り扱う際は、手袋とマスクをつけ、一般的な家庭用洗剤で洗濯し完全に乾かしてください。
※下痢の症状が見られることもあり、糞便からウイルスが検出されることがあります。

(8)ゴミは密閉して捨てる
 鼻をかんだティッシュなどにもウイルスがついています。すぐにビニール袋に入れ、室外に出すときは密閉して捨てください。その後は直ちに手を石鹸で洗いましょう。

※参考「県のホームページ」から抜粋
 4月22日から相談受付体制が変わり、各保健福祉事務所、センターでの電話受付を廃止し、県庁において一括して受付することになりました。

◆神奈川県帰国者・接触者相談センター受付窓口
電話 045-285-1015
受付時間 24時間対応
◆新型コロナウイルス感染症に関する一般的な相談は、「新型コロナウイルス感染症専用ダイヤル」
 電話番号 045−285−0536 050-1744-5875
  (受付時間:終日対応)

サキサキ先生の簡単パソコン活用講座(17)
〜iPhoneのアイコンを整理しよう〜

役員  佐々木 裕二

 アプリを色々とダウンロードしているとホーム画面にアイコンがいっぱいになってしまいます。また、キャリア系の販売店で購入した場合はおまけアプリがどっさり入っていることもあります。今回は、アイコンの整理方法についてご紹介します。
※ボイスオーバー(画面読み上げ機能)使用時の操作方法、iOS13です。

 作業に入る前にまずどのように整理するかを決めましょう。ホーム画面はよく使うアプリを登録すると便利です。3ページ目以降はお好みですが、種類毎に分けるのがわかりやすいかもしれません。例えば、お仕事系、ヘルパー系、お店・ポイント系、ゲーム系などです。また、整理の方法としては、ページ毎に分ける方法に加えて、フォルダーに複数のアプリをまとめる方法もあります。

●アイコンを移動する方法
1) 移動したいアイコンをタップあるいはフリックして選択します。
2) 上下フリップして「編集モード」と読み上げたらダブルタップします。
 →「編集を開始」と読み上げます。これで編集モードに入りました。
3) 上下フリックすると、「削除」「○○をドラッグ」などと読み上げますので、ドラッグでダブルタップします。
   →これで目的のアイコンがドラッグ状態になりました。
4) 移動先のアイコンを選択します。
  (ページを変更したいときは、3本指の左右スワイプでページを変更できます)
5) 上下フリックすると「○○を△△の前にドロップ」「○○を△△の後ろにドロップ」などと読み上げますので、目的の項目でダブルタップします。
 →アイコンが指定の位置に移動しました。

●複数のアイコンを移動する方法
1) 編集モードに入ります。
2) 移動する1個目のアイコンを選択し、上下フリックで「○○をドラッグ」でダブルタップします。
3) 2個目のアイコンを選択します。
   →「ドラッグに追加するにはダブルタップします」と読み上げます。
4) ダブルタップします。
   →「2項目をドラッグ中」と読み上げます。
5) 3)〜4)を繰り返すことで複数のアイコンをドラッグに追加することができます。
6) 移動先のアイコンを選択し、上下フリックで前または後ろにドロップします。
   →選択した複数のアイコンが移動します。

●アイコンをフォルダーに入れる方法
1) 編集モードに入ります。
2) フォルダーにまとめたいアイコンの1個目を選択し、ドラッグ操作をします。
3) 2個目を選択して上下フリックし、「○○と△△で新規フォルダーを作成」でダブルタップします。
  →新しいフォルダーが作成され、ふたつのアイコンがフォルダーに入りました。

※複数のアイコンをまとめたい場合は、移動操作と同様にドラッグ操作を繰り返し、最後のアイコンで新しいフォルダーの作成を実行します。
※フォルダーの中のアイコンを外に出すには、編集モードに入り、フォルダーの外の目的の場所でドロップします。すべてのアイコンが外に出されると、フォルダーはなくなります。

○サピエに便利な説明書があります
 サピエ図書館にiPhone関連の図書があります。ボイスオーバーでの操作方法を解説しているものもあります。iOSがどんどんバージョンアップするので新しいものを読んでください。検索はタイトルで「iPhone」と入力しましょう。

○番外編
 らくらくスマートフォンの取扱説明書も掲載されています。トークバックについてどれだけ解説されているかわかりませんが、らくらくスマホを購入した人は一読の価値があると思います。
お願い
 このコーナーも4年を超えてネタが乏しくなってきました。皆様からのリクエストがあるととても助かります。 パソコンやiPhoneについて知りたいことがありましたら、ご連絡いただけるとありがたいです。
こちらのフォームから、パソコン講座リクエストと書いてご連絡下さい。

ちょっと話してみませんか?(ピア相談のご案内)

心理相談員 板嶌 憲次郎

 新型コロナウイルスで世の中は大混乱になっておりますが、とても不安な日々をお過ごしのかたが多いのではないでしょうか。日本全国緊急事態宣言が発令されましたが、「我々視覚障害者はいつも緊急事態なんだ」と私の仲間が言っていました。まさしくその通りで、普段の大変さプラス今回の緊急事態……。本当に困ったものです。どんなことでも構いません。何か誰かと話したいと感じたならば、ご遠慮なくご連絡ください。また、特定非営利活動法人「神奈川県難病団体連絡協議会」でも、同様の対応をしております。
 あなたのお電話お待ちしております。

●対象 RP患者とその家族
●聴き手 プロフィール
板嶌 憲次郎(イタジマ ケンジロウ)
1970年(昭和45年生まれ) 49歳
約29年前(20歳頃)にRPと診断される。
約19年前(30歳頃)障害者枠で転職。金融系の会社にて事務を担当。
現在は盲導犬フレアと一緒にセーリング、ゴルフ、クライミング、ヨガなどを楽しんでいます。
●連絡先
こちらのフォームから「ピア相談希望」と書いてご連絡下さい。
 特定非営利活動法人 神奈川県難病団体連絡協議会でも相談を受け付けています。ただし、新型コロナウイルス対応で、しばらくは電話のみの対応となります。詳しくはホームページをご参照ください。
●電話相談
【日   時】 月〜金曜日 11時〜16時
【電   話】 神奈川県難病団体連絡協議会 045−651−0258
【携帯電話】 080−9039−5428
※できましたら、こちらの携帯番号にご連絡いただきますようよろしくお願いします。
※ご相談の内容、個人情報については「守秘義務」を厳守いたします。

読書の薦め

横須賀市 内田 知

●『ワルキューレ 巡査長真行寺弘道 3』 榎本 憲男(えのもと のりお) 著
 音響にもこだわるロック好きのチョイ悪おやじ刑事が主人公のシリーズ3作目。
今回の事件は少女誘拐事件。誘拐された少女は、母子家庭で少女はろう者だった。そんな彼女が、なぜ誘拐されたのか。
 本書は、警察小説である。それなのになぜか、同性愛、異性愛、人工授精などなど人間の根源を問題にした話へと進む。価値観の違い、見解の相違などと軽く片付けられない問題が表に出てくる。親は、わが子が健康であってほしいと願うが、障害を持った子供を産むために人工授精をした人物が登場する。この場面では、なんだって、フザケンナ。と思いながら読み進めた。そしてラストシーンへ。主人公が蒸し返した誘拐事件の真実。その真実に、主人公はどう決着をつけたのか?
 本書は、ウッチャンが地元の横須賀の点字図書館にお願いをしてデイジィにしてもらった作品。1・2作目もサピエにあります。ぜひ!読まれたし。

●『トリガー 上下』 真山 仁(まやま じん) 著
 本書は、開催されるはずだったオリンピック、パラリンピックを背景にしたミステリー。オリンピックの競技の中に、男女の区別なく競い合う競技がある。この競技で金メダル確実と言われる女性がいた。彼女は、韓国の選手だった。だが、選手である前に、韓国の国防に関わる仕事をしていた。
 そして彼女は、日米韓の安全保障を根幹から揺るがす情報をつかんでいた。その彼女が、鉄壁な警護にも関わらず、何者かに殺害される。また、在日米軍女性将校と北朝鮮工作員の変死事件が相次いで発生。3つの事件には繋がりがあるのか?
 日本・韓国・北朝鮮。相容れぬはずの3つの国の諜報員たちが手を結んだ時、国際的暴力の影が浮かび上がる。その影に彼らは、どう立ち向かうのか。
 上下巻合わせて、スリル満点の展開。国のためだけに生きて来た北朝鮮の工作員が、ひとりの人間として今何を為すべきかを思い悩む心理描写に、読む手が止まらなくなる。

●『サリエルの命題』 楡 周平(にれ しゅうへい) 著
 本書は、今の日本を描いているような怖い作品なのである。新型コロナウイルスの感染拡大でオリンピック開催も延期となった。そんな今を予知したような物語。第一章では、物語の中心人物たちの背景とウイルス感染の怖さを描いている。物語の怖さを感じるのは第二章から……。
 日本海に浮かぶ孤島で猛毒性の新型インフルエンザが発生し、一夜にして島民全員が死亡した。そして、感染は本土へと拡大。政府はこの危機をどう乗り越えようとするのか。物語の展開に出てくるのは政治家ばかり。そして、日本の医療制度や、社会保険制度の問題へと進んでいく。果てには、オリンピック開催に浮かれていていいのか、後始末に、どれだけの国税を使うか考えろって話まで出る。それより、ウイルスを壊滅する方法はどうするんだ、と思いながら読む手が止まらない。
 医療制度や社会保険制度の矛盾点を、これからどうすべきかなんて話も出る。ウイルスはどうするんだ、とこれまた思いながら読む。なんと、予防接種の順番が決められている。これが、物語の中の話ではなく、現実に法律の中に記されているらしい。まずは、医療従事者、次に国政に携わっている者たち。つまり、国会議員や官僚たち。次にやっと我々国民への接種となっている。それを読んだときは、本当なのか? と驚いた。
 本書は、あくまでもエンターテーメント小説である。がしかし、物語に出てくるワクチンが実際にあれば……と願い読み終えた。

●『グランドシャトー』 高殿 円(たかどの まどか) 著
 故郷を捨て、故郷へ帰れない少女は、大阪の夜の街で生きていた。思い切り勝気な女子がひとりの女性と出会い、自分の生きる道を見つける。
 ホステスと侮るな、ナンバーワンホステスへの道は厳しいのだ。ナンバーワンを目指す、しかしナンバーワンにはなれない。なれなくていい、今の暮らしを与えてくれた人がナンバーワンなのだから。
 物語の冒頭は、ユーモア小説を思わせる。舞台は大阪、セリフは大阪弁。だが、セリフは大阪弁でも、物語の展開は厳しくもあり優しくもあるふたりの女性の物語。昭和から平成、ふたりのホステスが織りなす温かくも切ない共同生活。笑って泣ける大阪キャバレー物語。涙腺の弱い方には、物語の後半にティッシュが必要になる展開が待っている。

●『犯人は、あなたです』 新堂 冬樹(しんどう ふゆき) 著
 若手敏腕編集者の男性の、バラバラ死体が発見された。被害者家族はあの日本一有名な家族だった。すべてのマスコミが、殺人犯をそっちのけでその家族を追いかける。物語は、家族の隠された秘密を、これでもかと暴露していく。成長しないはずの家族が成長する。あのワンパク坊主が新聞記者になる。あのかわいい幼児が、親の言うことを聞かない悪ガキに成長する。
 あの家族をネタにしたブラックユーモア全開のミステリー。読んで驚かれよ。

投稿コーナー

みんなの川柳・俳句・短歌

神奈川MLのみなさん

●川柳
【横浜市】 渡邉 千登世
1 コロナ感染 国をあげての 封じ込め
2 春風に 揺れる桜よ 憂いあり
  解説:人の心を反映してか桜まで寂しげに見える。
3 飽きるほど 引きこもる日々 いつ終わる
4 公園で 孫は駆けっこ 空青く
  解説:コロナウイルス騒ぎさえなければ、いつもと同じ日常風景。
5 手で触る 習慣今は 躊躇して
6 こんな時 夫婦の会話 取り戻す
7 あり余る 時間が無為に 通り過ぎ

【横浜市】 清水 秀雄
  コロナ一色です。
1 五輪への コロナハードル バーに足
  解説:パンデミック、ハードル越えられず1年程度の延期です
2 ノーマスク この時期目立つ 異邦人
  解説:今の普通人はマスクを着用しています。
3 行列です 聞かずもわかる マスクです
  解説:KIOSKで、5枚入り/1人 315円、高いが買いました。
4 ミスマッチ みぞれの中の 迷い咲き
  解説:桜の開花にブレーキが効かず、開花宣言となりました。
5 ノコギリ刃 気温が株に 感染か
  解説:数値の急変動がコロナで株価に感染した様です。
6 満開も 観客いずこ 花白む
  解説:綺麗でしょ。あれ! 花見客がいない。
7 宣言は ジャーナリストの 飯のタネ
  解説:緊急事態宣言、ジャーナリストには活躍のチャンスです。
8 久し振り 日を浴び医者へ 街静か
  解説:何か正月三が日の静けさみたいです。
9 喉痛い 熱っぽいな えっコロナ
  解説:コロナ恐怖症候群です。
10 毎日の 疫学受講 お茶の間で
  解説:フムフム、ナルホド。コロナ特科、講師は岡田教授。

【横浜市】 原 邦夫
1 春来ても 来て欲しくない 杉花粉
2 日がのびて 帰宅時間 気にならず
3 こんなにも うがい手洗い したことは
4 憧れの クルーズツアー 夢沈む
5 ジム行けず 暇持て余す 家ごもり
6 家ごもり きのうと同じ スケジュール
7 コロナより 今聞きたいは 良いニュース
8 夫婦とも あくびため息 ルーティンだ
9 楽しみは おやつ晩飯 何だろう
10 午後散歩 匂いただよう 晩飯の

【小田原市】 井手 章
< 新型コロナ川柳あれこれ10句 >
 皆さん、お元気ですか?いつになったら終息するのか不安です。3密(密集、密閉、密接)は避けましょう。医療崩壊・経済危機はスペインかぜ(1918年〜)・世界恐慌(1929年〜)を超える、史上最悪な状態になるとも言われています。皆さん! またお会いできる日まで、外出を避けて命を大切に頑張りましょう。
1 出動だ コロナ対策 ロボコップ
2 無観客 歓声なしに 感無量
3 行楽の 旅行シーズン キャンセルに
4 今地球 コロナショックは テロなのか
5 パンデミック 世界流行 止まらない
6 コロナウイルス 感染増える クラスター
7 コロナから 命を守る 不要不急
8 後手後手の 不平不満の ダメ政治
9 ロックダウン 内で歌おう 巣ごもりだ
10 横文字に 踊らされてる コロナかな
  解説:オーバーシュート(予想以上の爆発的な感染拡大)、クラスター(感染者の集団や集団感染)、パンデミック(世界的な感染流行)、ロックダウン(都市封鎖)、ソーシャルディスタンス(社会的距離)、ディスタンシング(間隔を空ける)

【横浜市】 吉川 弘
1 外でるな 三月も経たず 腹がでる
2 人並みに 予約キャンセル にぎわい座
3 妻のやる 漢字パズルで 暇つぶし
4 手伝いの つもりが本気 パズル解く
5 ちょうどいい マスクで隠す 無精ひげ
6 アゴ出しの マスク二枚で 笑わせる
7 緊急と 言ってる割りに ゆるゆるで
8 茶坊主の 知恵ばかりでは 先みえず

【横浜市】 森田 祐吉
1 日に増えて 日に日に増える ウイルスが
  解説:おさまらぬ新型コロナウイルスの様相
2 響け古関のエール 世界の果てまで
  解説:NHKの朝ドラ『エール』にコロナウイルスの撲滅を託して

【横浜市】 澤田 有希
1 配給を いまかいまかと まちますく
2 ウイルスは そろそろおわって いいコロナ
3 休みたい なんでもない日に 休みたい

【横浜市】 佳純目 譲司(かすみめ じょうじ)
コロナに始まり、コロナに終わりました。
1 テレワーク 新職種かと 勘違い
  解説:よーく聞けば、ネット利用の在宅勤務でした。
2 コロナから スローライフを 教えられ
  解説:人間ファーストに対する自然の警鐘かも。
3 ウイルスに 我慢強いられ 独り酒
  解説:外出自粛、我が家がおひとり様居酒屋に。
4 自粛の日 雪が後押し 足鈍る
  解説:感染防止に雪も味方です。
5 ステイホーム 腰落着けて 句を捻る
  解説:暇だけど、少しは頭を使わねば。
6 口惜しいぞ 春爛漫に コロナ飛ぶ
  解説:コロナの為に春はズタズタです。
7 コロナ海 揺れに翻弄 我小舟
  解説:何もできません。ひたすらうがいと手洗いです。
8 横文字も 何度も聞けば 日本語に
  解説:ロックダウン、クラスタ−、オーバーシュート、ソーシャルディスタンス等々です。
9 休みでも 心休めず 妻子の眼
  解説:どうも居心地が良くないんだよね。行く所もないし。
10 名目は二の次 納得の給付 
  解説:国難です。政府は国民の認識をさらに喚起してもらいたい。

●俳 句
【横浜市】 浅井 進
1 ふっつりと 途絶えし人や 鳥雲に
2 ゆくゆくは 土に戻る身 春の暮れ
3 園児らの 駆け抜ける道 木の芽吹く

【横浜市】 森田 祐吉
1 咲いたのに めでる人なく 寂しそう
2 幸せと 気づく幸せ 花見宴
  解説:どちらも暖冬とウイルスのせいで、花見の機会を失した思いから。
3 コロナでも 桜は常に 咲き誇る
4 花吹雪 春の雨との コラボかな
5 入学の デビュー果たせぬ ランドセル
6 マスクとり 薫風すって 蘇生する

●短歌
【横浜市】 森田 祐吉
1 コロナにて 延期されにし 五輪会 つぎの開催 切に祈らん
2 老体の 健康願い 散歩する 白杖軽く 日差しを浴びて

【横須賀市】 眞田 京子
1 大寒の 冷たき風に さゆれつつ 三つ葉クローバー 黄花(きばな)咲き満つ
2 冴え冴えと 空澄み渡る 朝の園 樹々(きぎ)の秀(ほ)つ枝(え)に 小鳥囀る
3 春風に ほの香りつつ 沈丁の 花まり揺るる 朝光(あさひかり)の道

【訂正】
前94号会報掲載の 【藤沢市】 狩野 幸子さんの短歌に誤りがありました。下記の通り訂正いたします。
(正)1 時として お愛想笑い 見えたとて 瞼閉じれば 母笑い顔
(誤)1 お愛想笑い 見えたとて 瞼閉じれば 母笑い顔

■ウッチャンの落書きストーリー【中編】
〜善晄(よしてる)とウッチャンの落書きショートストーリー〜

横須賀市 内田 知

 以下の物語は、実話にチョットだけフィクションを加えたショートストーリーです。
 また、パート1(前編)は前号に掲載されています。

  パート2(初の役員会出席で)
 神奈川の支部設立総会が終わって、初めての役員会で話し合いが終盤を迎えた頃、内田が発言を求めて言った。
「みなさんからさん付けされると、なんかこうお尻がムズムズするんですよ。俺は、周りからウッチャンと呼ばれてます。なので、みなさんも俺のことをこれからは『ウッチャン』と呼んでください。内田と呼んでも返事はしませんから、そこんとこよろしくです」
 この言葉に、役員全員が唖然とした。そして、全員が内田に冷たい視線を向ける。その視線を受けながらも、平気な顔をする内田。視線を感じることがないのは当然なのである。なにせ、内田は全盲の上、鈍感なのだ。(大事な話をしている時に、何を言うのかと思ったら、ウッチャンと呼べだと? まったく落語に出てくる与太郎そのままの性格だなあ。少しは役に立つと思っていたのにだめだこりゃ)と、善晄はこれから内田をどう使うかを悩み始めた。
 だが、善晄の心配をよそに「ウッチャン」という名前はなぜか神奈川で広く浸透していった。

パート3(眼科医との出会い)
 支部活動が始まった頃、RPが特定疾患と認定され、県内の保健所でRPの医療講演会や相談会が催される機会が多くなった。そのため支部への参加協力の依頼が来るようになり、この波に乗れとばかり、神奈川支部は依頼のあった所はすべて受諾した。動きの中心は、初代支部長となった善晄。
 講演会は、講師として呼ばれた眼科医のRPの症状についての説明と現状での治療法研究の説明が中心。その後に、JRPSの案内をするのがお決まりのパターン。普通は、団体の活動紹介と参加を呼び掛けて終わる。保健所の職員も、講師の眼科医もそう思っていただろう。だが、善晄がマイクを持って喋りだした途端、保健所の職員も眼科医も、驚き慌てることになる。活動紹介はすぐに終わる。終わった後が、善晄のマイクパフォーマンスの始まりなのだ。
「先ほど、○○先生は、こう話しておられましたが……」
と言って、講師より上の話をする。最後は、
「ここだけの話ですが」
と、研究者しか知らない話をする。ついでに、笑いをとるためのジョークまで入れて話す。眼科医の話の結論は、治療法はない、失明の可能性もある。聞いている患者が肩を落とすのは当たり前。ところが、善晄が話すと笑いが起こる。治療法はない、失明の恐れもある、そんなことは言われなくてもわかっている。わかっている患者に何を語ればいいのか。同じ病気で苦しんでいる自分が語るべきことは何か。病気に勝てないまでも、闘う気持ちを持ってほしい。自分が話している時間だけでも、明るい気持ちになってほしい。元気になってほしい。勇気を持って生きる気持ちになって帰ってほしい。
 善晄は、必死に話す。患者同士だから通じ合う心が生まれる。となれば、話し終えた善晄の周りに人盛りができる。地元のファンに囲まれた、地方巡業に出た演歌歌手状態になる。患者だけではない、眼科医も同じである。治療法のない病気の患者だからこそ、真剣に患者と向き合い、どう患者と接して診療すればいいのかを真面目に考えている眼科医にとって、善晄の話は新鮮に聞こえるんだろう。
 善晄との関係を深くしていった眼科医がいた。今もJRPS神奈川の顧問を務めてくれている、高野、青木両先生である。もうひとり頼りになる先生が神奈川にいた。善晄とウッチャンのふたりに出会ったために、眼科医としての人生を変えられてしまった、と公言してはばからない仲泊先生である。仲泊先生は、神奈川にロービジョンネットワークを作った発起人でもある。そして、何かとRPのことしか話さない善晄に 「視覚障害で苦しんでいるのは、RP患者だけではないんですよ。私たち医者は、他の病気の患者さんたちも診ていることを忘れられては困りますよ」
と釘をさす一言を言える先生でもある。そう言われた帰り道、善晄は 「仲泊先生に怒られちゃった」
と嬉しそうにウッチャンに話しながら、自慢げに言葉を続けた。
「高野、青木、仲泊という頼りになる先生がいる。JRPS神奈川の三羽烏ってとこだな」
「先生たちを烏なんかに例えていいのかよ。言いつけてやるぞ」
とツッコむと
「ここだけの話にしといてくれ」
善晄は、首をすくめて笑った。

パート4(80歳の患者との出会いと保健所からの謝礼)
 支部が立ち上がったと同時に、県内の保健所すべてにJRPSのパンフレットを郵送した。特定疾患に認定されたこともあって、パンフレットに記載してある善晄の電話番号に問い合わせが相次いだ。その中に、80を超えた老人からの電話があった。80を超えて目が見えなくなるのは怖い、という相談だった。善晄はいつ病気がわかったのかと、現在の視力と視野を聞いて答えた。
「RPは、確かに進行していく病気だが、進行はゆっくりで失明するかもしれないのは先の先。○○さんの年齢から言って、目が見えなくなる前に命がなくなる方が先かもしれません。健康に気をつけて100まで生きても目は見えてますよ」
「そうなのか。心配して損したなあ」
老人は大笑いしながら電話を切った。その話を聞いたウッチャンは、いつも講演会で自分の話をパクって話をして、感心されたり笑いをとったりする善晄に、パクリ返すネタができた、と聞いた話を使えるチャンスを待っていた。
 ある保健所で講演会終了後、出席者からの相談を受けることになり、善晄とウッチャンが担当した。ふたりはふたつに分けられたテーブルについて、それぞれの前に座る患者たちの相談を受けた。
 相談の時間も終わりかけた頃、ウッチャンの前に老婆が座った。話を聞くと、年齢は80を超えてRPと診断され半年になるという。視力も視野も、異常を感じることはないが、病気であるとわかってこれからの事が心配だと話した。これを聞いて、善晄のネタを使える、とウッチャンは話し始めた。話を聞いていた老婆は、目が見えなくなる前に命が亡くなると聞いた途端、泣き出した。健康に気をつけてウンヌンとつづけようとしたウッチャンは慌てた。なんでここで泣くんだよと思いながらも、泣き出した老婆にかける言葉を失ってしまった。少し離れたテーブルにいた善晄は、隣の異常に気がつき、ウッチャンに近づいた。すると、老婆が泣いていて、ウッチャンはオロオロしている。
「ウッチャン、何を言ったんだ」
と口調を強めて聞いた。ウッチャンは、事の成り行きを説明する。それを聞いた善晄は、(やりやがったな)と舌打ちをして、ウッチャンをどかして老婆の前に座り、まずは老婆をなだめた。そして、ウッチャンが聞いたことと同じ質問をして、ウッチャンが言おうとした事を話した。すると、老婆は笑い出したのである。(俺が話した事と同じなのに、なんで俺の時は泣いて、中村さんの時は笑うんだ……)と呆然と立ちすくんだ。話し終えた善晄に
「お婆さんに謝れ」
と言われ、頭を下げたウッチャンに老婆は笑いながら答えた。
「お兄ちゃん、こちらこそごめんなさいね。命が亡くなるってところで、なんでか涙が出てきてしまってね」
それを聞いたウッチャンは、心の中でツッコんだ。(泣くんじゃねぇよ)と……。
帰りの電車の中で、善晄は
「俺のマネするのは10年早い」
と落ち込んでいるウッチャンに向かって高笑いをした。うつむいたままのウッチャンは「クッソー、このままですませてたまるか」と呟きながら、善晄に勝てるジョークはないものかと、思いを巡らせていた。
 数週間後、善晄とウッチャンは、ある保健所にいた。その日は講演会後に講師の眼科医と、善晄とウッチャンのJRPSコンビと、ふたつに分けての個別相談を受けることとなっていた。眼科医の話の後、善晄の話。ふたりの話を聞いた後の相談会。善晄が病気について、ウッチャンが福祉制度と日常生活での不自由さをどう工夫して軽減するかの質問に答えた。
 ふたりがコンビを組んでの相談がすべて終わって、職員から「お疲れ様」の声がかかる。そこに、保健所の課長がふたりに挨拶をしに来た。善晄と課長は、辞令的な挨拶を交わす。ここへ、ウッチャンが口を出した。
「中村さんへの謝礼は銀行振り込みでも構いません。口座番号は、後程支部長の中村さんからお知らせさせていただきます。貧乏な団体で、活動費がほとんどないんです。よろしくお願いしますね」
この一言で、静まり返る室内。善晄が慌てて
「ウッチャン、何を言っているんだ。ハハハ、面白くないジョークで失礼な事言って申し訳ありません」
と謝る。
「いやいや、こちらこそご用意せずにすみません」
と、課長が言葉を返した。
 そんな事があった後の保健所通いに異変が起き始めていた。保健所で、交通費とか言われて現金を渡されるようになったのである。活動資金がほとんど0の状態で動いている支部にとって、どれだけ助かるか、役員たちは喜んだ。そして、不思議がった(なんで、保健所がお金を出してくれるようになったのか)。原因をわかっているのは善晄だけ。あの時の話が、保健所のネットワークで広がったんだろうと善晄は思っていた。
「ウッチャン、やってくれるじゃんか」
「俺たちは、ボランティア団体だからさ。手弁当で動くのも承知の上、それに支部の事を宣伝できるだけでも良しと思わなきゃいけないとは思う。だけどさ、最初から何も用意しなくてもいいと思われて呼ばれていると思うと腹が立つんだ。俺たちがいる前で講師の先生に謝礼を渡して、俺達には「お疲れ様」の一言だけ。ムッときたね。だから、いつか仕返ししてやるって考えてたんだ」
「それが、あれって事か」
「そうだよ。謝礼渡すんだって、渡していいタイミングってのがあるはず。ボランティアで来ている俺たちの目の前で渡すなんてさ。礼儀ってのを知らなさすぎるんだよ」
「オイオイ、ウッチャンが礼儀なんて言葉言える立場かよ。相手かまわず、言いたいこと言ってるのに」
「そうだったっけ」
とぼけるウッチャンを見ながら、(こんな馬鹿がひとりぐらい神奈川にいてもいいだろう)と善晄は苦笑した。
(……次号に続く

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■アイネットワーク

 アイネットワークに要望されていたテーマで残っていた「通帳読み上げ」を開発しました。
 交流会などに参加し、見えにくい、見えない、というかたがたの、ご意見、ご要望をお聞きし、他社に 無いもので、新しいモデルを開発し、用具を選ぶとき選択の幅が拡がることを目指しています。

 日常生活用具の「活字文書読上げ装置」の項目で給付を受けられる「アイビジョンスピーチオ」
 見えないというかたも、音声ガイドを聞いての簡単操作で、新聞、雑誌、本、郵便物等の活字文書を、音声で読み上げできます。この項目の給付要件である、SPコード(音声コード)を解読して読み上げします。「読書器」とは別の給付項目ですから、拡大読書器を使用中のかたも、手帳が1級と2級の人は、全国の、どの自治体に、お住まいのかたも、給付を受けられます。
 給付限度額と同じ 99,800 円で、超過負担はありません。所得のあるかたで1割負担のかたは、9,980 円の負担です。地方税が、非課税のかたは、負担を免除されますので、無料です。
 店には置いてないので、試してみたいというかたに、1週間程度の貸出で対応しております。
 送料を含め無料です。ご希望があれば、末尾に記載のところへご連絡ください。

 これから下の、読書器は、どのモデルも、所得のあるかたで1割負担のかたは、基準額に対し19,800 円の負担です。地方税が、非課税のかたは、負担を免除されますので、無料です。

1) 日常生活用具の「読書器」の項目で給付を受けられる「アイビジョンデジタルノート型」
 簡単操作板の穴に、左の穴から右隣へ順にタッチする簡単操作で、活字文書の読み上げと15.6インチの画面に、拡大・縮小・移動の画面表示ができます。高性能にカスタマイズした本体で出荷します。カメラ無しは基準額と同じ 198,000 円、カメラ付きは 208,000 円。

2) 日常生活用具の「読書器」の項目で給付、「アイビジョンデジタル見る・聞く・テレビ画面型」
 画面にしゃべるテレビ32インチを採用、本体から出ているケーブルで接続して画面とする。
 本体の、簡単操作板の穴に、左の穴から右隣へ順にタッチする簡単操作で、活字文書の 読み上げと、画面に、拡大・縮小・移動の画面表示ができます。本体を使わないときには、 アンテナを接続し、しゃべるテレビとして視聴できます。テレビを含み、198,000 円

3) 日常生活用具の「読書器」の項目で給付を受けられる「アイビジョンデジタル書見台型」
 上下、左右に動く構造の台に乗せたタブレットのカメラで、書見台の文書を撮影、拡大・縮小の画面表示。眼圧が上がると言われているかたも首を前傾しないで使えるので安心です。
 画面は約10インチです。特殊構造の台3点を含み 198,000 円

4) 日常生活用具の「読書器」の項目で給付、「アイビジョンデジタル見る・書く・動く」
 机上に置いた書面の上の方で、カメラが、前後、左右に動く方式なので、省スペースです。画面に、拡大・縮小表示、付属のケーブルで、大画面テレビに接続可。 198,000 円

5) 日常生活用具の「読書器」の項目で給付、「アイビジョンデジタル見る・書く・テレビ画面型」
 画面に録画再生付きしゃべるテレビ32インチを採用、本体から出ているケーブルで接続して画面とする。机上の書面を、カメラで撮影、画面に表示。書面に書ける。本体を使わない時には、アンテナを接続し、録画再生付きしゃべるテレビとして視聴できる。テレビを含み、198,000 円

6) 日常生活用具の「読書器」の項目で給付、「アイビジョンデジタル通帳読み上げ」
 通帳の残高と日付を、音声ガイドを聞き、穴に指でタッチし、1項目づつ、読み上げる。
 使用許諾の条件から、100台限定での生産となります。 198,000 円

読書器と活字文書読上げ装置で、読める世界を拓く アイネットワーク有限会社 担当 みやたけ
電話&FAX 042-583-7450 携帯 080-8034-1163 メール aivision@js7.so-net.ne.jp
〒191-0055 東京都日野市西平山5-23-12 上記モデルの紹介CDとカタログをお送りします(無料)
スピーチオ、SPコードは株式会社廣済堂の登録商標です。しゃべるテレビは三菱電機の商品名です。
アイビジョンはアイネットワーク有限会社の登録商標です。官報で、視覚障害者用拡大読書器は、視覚障害者用読書器と改正、と厚労省から告示されましたので、これに従い表記を変更しました。
自治体により、視覚障害者用拡大読書器、視覚障害者用音声読書器で運用されています。


(裏表紙)
1971年 8月 7日 第三種郵便物認可(毎月6回 1の日・6の日発行)
2020年5月12日発行 SSKA増刊通巻 第10245号

  95号KANAGAWA                2020 Summer

編集後記

◆春の嵐が過ぎ、透き通るような青空が広がり、木々の若葉が生吹、誰もが春を満喫するため外へと向かいたいところです。しかし、令和2年が明けた早々に、新型コロナウイルス感染症の流行。そして緊急事態宣言の発出により外出自粛要請。皆様はどのように日々お過ごしでしょうか。当協会の活動もその感染症拡大の影響により、各種イベントが2月から中止・延期となり、今号でお知らせすべき8月までのイベント実施の可否の判断が下せないため「総合カレンダー」を掲載していません。とにかく今は我慢です。私たちは、今までも様々な困難に立ち向かい、進むべき道を切り開いてきました。そのたびに強靭な精神力を培ってきたはずです。皆様とお会いできる日がいつになるのか不安ですが、一緒に頑張りましょう! 今から40年前は、世界保健機関(WHO)が地球上で天然痘の撲滅を宣言した年だそうです。早くその日を迎えられますように。 (佐藤)

◆JRPS神奈川会報は下記の3形式でお届けしていますが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により発送作業ができないため、今号は墨字版及びデイジー版の発行はしていません。変更を希望されるかたは、下記連絡先までご連絡下さい。
 1)墨字版:印刷物、大きめのゴシック体の文字 
 2)デイジー版:デイジー形式の録音CD
  3)メール版:テキストメール


◆神奈川県網膜色素変性症協会(JRPS神奈川)連絡先

・事務局  溝田 隆之
     〒237-0067 横須賀市鷹取*****
     TEL・FAX:046-********
・会  長  阿部 直之   
     〒213−0011 川崎市高津区久本********
     TEL:080−*******
     E-mail:********
・編集  JRPS神奈川編集部
        E-mail:**********
       
発行人 特定非営利活動法人障害者団体定期刊行物協会
〒157-0072東京都世田谷区祖師谷3-1-17
          ヴェルドゥーラ祖師谷102号室

http://www.rp-k.com
定価 200円
(おわり)